シロアリ・腐朽菌について

シロアリについて

シロアリを知らない人はあまりいないでしょう。 ただ、実際にシロアリを見たことのある人は、少ないでしょう。 シロアリは木を主食とする昆虫ですが、木の表面には出てこないため普段目にすることはありません。 しかし、実は地球上で最も数の多い昆虫と言われ、自然界ではシロアリがいなければ生態系が成り立たないほど重要な役目を担っています。
シロアリは木の幹に豊富に含まれる「セルロース」を栄養とする数少ない生物で、倒木などを土に還すため”森の分解者”と呼ばれています。 また、木を食べるシロアリがアリ(以下、黒アリ)などに食べられることから、植物性たんぱく質を動物性たんぱく質に変えることになり、自然界の食物連鎖においても重要な昆虫とされています。
そんな、自然界では必要とされるシロアリが、人間の住む木造住宅にとっては恐ろしい天敵となってしまうのです。
シロアリは黒アリと姿が似ていて、黒アリ同様に集団で生活します。ともに集団の中に「働きアリ」「兵隊アリ」などの階層がある「社会性昆虫」ですが、 実はシロアリはゴキブリの仲間(ゴキブリ目)、黒アリはハチの仲間(ハチ目)に分類されます。 さらに、シロアリにとって黒アリは、シロアリを捕食する”天敵”なのです。

★シロアリ対策で気をつけておきたいこと

  1. 点検をすること
    シロアリは住宅の癌といえます。早期発見できれば直る可能性が高くなります。
  2. 床下を暖めないこと
    シロアリは寒いと活性が下がり、冬場の土中では暖かいところを求めます。 暖かい床下にシロアリが入り込むと、季節に関係なく一年中活発に活動し続けることになります。 基礎を暖める工法はそもそも北海道などのシロアリが少なく活性も低い地域で行われていたものです。
  3. 床下や庭に木材や段ボールなどを置かないこと
    床下や庭に木材を置くとシロアリを呼びます。 特に紙は、木材からシロアリの栄養分であるセルロースを抽出して作られているので大好物。 段ボールも注意しましょう。

腐朽菌について

空気中を浮遊する木材腐朽菌の胞子は、木材表面に付着、水分・酸素・適温(5~40℃)という条件が揃えば発芽していきます。そして、組織を分解しながら菌糸を伸ばし、最後に子実体を作り胞子を飛散させる、というサイクルで進行していくのです。菌糸は木材の細胞壁を分解し、そこで自らの栄養源を得ているため、腐朽材では密度と強度が低下します。
木材が土に触れるところ、水がしみ込むところ、水が常にかかるところ、湿度が高いところ、風通しの悪いところ等に腐朽が生じる可能性が高くなるのです。

分 類 概  要
褐色腐朽菌類 木材を褐色に腐らせる菌類の総称。針葉樹を好むものが多い。重量減少の割には、強度の低下は大きい。
白色腐朽菌類 木材を白色に腐らせる菌類の総称。広葉樹を好むものが多い。セルロース・ヘミセルロース・リグニン等木材の主要成分全てが分解される。

★腐朽菌対策で気を付けておきたいこと

  1. 繁殖条件に該当する温度や空気というのは、生活空間で必要不可欠なものであるため、管理することや制御することは非常に難しいでしょう。
  2. 腐朽菌の必要とする栄養分も木材の主成分であるため、なくすことは困難です。
  3. 腐朽菌繁殖条件の「水分」・・・木材を湿らさないよう管理することこそが最も有効な腐朽菌対策となります。


日常的に気を付けられるこれといった有効な対策は難しく、
木材防腐剤による処理を行うことで腐朽を防止できます。